Ⅶ ~交錯する想い~

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「ふざけんな、ヒナ。俺が付き合ってやるって言ったら、お前嬉しそうにハイって言ったじゃん」 「ええっ!? 嬉しそうって……だってあれは類ちゃんが、」  ――――怖い大声を出して脅かすからつい勢いで口から飛び出た。  そう言いかけたヒナに、類は一睨みして黙らせてしまう。 「は、なに? ヒナ、コイツの彼女になるって了承したの?」  ワントーン低い、恫喝の響きを滲ませる鋭い声に、ヒナの背がビクッとしなる。 「してな、」 「したの! だからエロガキ。俺の彼女に近付かないでくれる? 超不快だから」  慌てて頭を振って否定の言葉を紡ごうとしたヒナに、類の声が被さった。 「……ヒナ? ホント?」 「い、言ったか言わないか、どっちって聞かれたら、それは……ハイって言っちゃったんだけど、でも違うんだよ!」  樹の双眸が今までにないほどに剣呑さを帯びてゆく。  ヒナは全身を使って誤解だと訴えるのだが、今度は樹の言葉が重なった。 「は? 言ったの? 告白されて、了承した? ヒナはこの男が好きなの?」  責めるような樹の双眸に射貫かれて、立て続けに質問されて、発言する猶予すら与えられなくて。  追い詰められるような心理状態に置かれたヒナからは、急速に余裕が失われてゆく。
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