近所の小学生 1 完結

Ⅶ ～交錯する想い～

「誰よりも深くヒナを愛しているのはボクだけだ！　それなのに……ボクがまだ子供だから、たったそれだけの理由で選んではくれない。男として見てさえもらえないっ」

　樹は悔しげに唇を噛んだ。グッときつく握った指の隙間からは、すぅと鮮血がにじみ出す。

「……埋まらない時間のせいで、全てを……想いの全てを……愛したことすら否定されてしまうのか！」

　魂が引き裂かれるような、激情が迸るような、切ないほどに悲痛な叫び。

「そんなことさせない。そんな傲慢は許容できない。許さない！」

　狂おしいまでの想いを吐露する樹に、ヒナの魂が慄えた。

　常にある冷静さは失われ、余裕すら今は感じられず、追い詰められた子供そのままに、樹の秘された感情が露わになっている。

　ちくしょうと、奥歯を噛みしめる樹の唇は悔恨の言葉を刻む。