2646人が本棚に入れています
本棚に追加
トレーナーの上に淡いピンクのカーディガンを羽織り、膝までのデニムのスカートに着替えると、ヒナは濡れた髪をそのままに玄関へと向かう。
「お母さん、樹くんの所に行ってくる!」
電話をしていた母は、ヒナの声に慌てて振り返った。
「ヒナごめん、お母さん大阪呼ばれちゃった! すぐ新幹線乗って画廊に戻らなきゃダメなの!!」
急な仕事が入ったと、受話器を押さえながら口早にまくし立てる。
「お母さん、私は大丈夫だよ。いってきます」
「ちゃんと樹くんと話すのよ~!」
ヒナはニコリと微笑み、大きく頷く。
そして、すぐに非常階段へと向かった。
最初のコメントを投稿しよう!