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「ふふっ。可愛いヒナ。大好き、愛してる」
ぎゅうっと正面から抱きつかれて、樹の首筋にヒナは顔を埋める形になる。
コロンではない樹の香りにくらりとしてしまう。
「ヒナはもう、ボクのオンナだ」
「……は、」
耳元で囁かれた独占欲丸出しなセリフに、声に混じった情欲の色に、ヒナは本能的な恐怖を感じてしまい、心臓がキュッと竦み上がった。
ヒナを抱きしめる力が強くなり、背中に回った樹の手が明確な意図を持って卑猥に這う。
ぞくりとした感覚に、思わず声が出そうになった。
驚いたヒナは樹を押しのけようとするけれど、ビクともしなくて。
「なに驚いた顔してんの? ……なにされるか不安?」
樹の問いに、赤べこ人形のように忙しなく何度も頷く。
にこりと優等生な笑みを浮かべた樹は、ひと言。
「ヒナをボクのものにしていい?」
そう言うと、樹の手のひらがヒナの胸に触れ、すくい上げるようにしてやんわりと力を込めた。
「ひっ、ひ――――ッ!!」
恥ずかしさと全身を駆け抜ける戦慄に、細い掠れ声で絶叫したヒナは、目に涙をためながら樹に訴えた。
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