Ⅶ ~交錯する想い~

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「ふふっ。可愛いヒナ。大好き、愛してる」  ぎゅうっと正面から抱きつかれて、樹の首筋にヒナは顔を埋める形になる。  コロンではない樹の香りにくらりとしてしまう。 「ヒナはもう、ボクのオンナだ」 「……は、」  耳元で囁かれた独占欲丸出しなセリフに、声に混じった情欲の色に、ヒナは本能的な恐怖を感じてしまい、心臓がキュッと竦み上がった。  ヒナを抱きしめる力が強くなり、背中に回った樹の手が明確な意図を持って卑猥に這う。  ぞくりとした感覚に、思わず声が出そうになった。  驚いたヒナは樹を押しのけようとするけれど、ビクともしなくて。 「なに驚いた顔してんの? ……なにされるか不安?」  樹の問いに、赤べこ人形のように忙しなく何度も頷く。  にこりと優等生な笑みを浮かべた樹は、ひと言。 「ヒナをボクのものにしていい?」  そう言うと、樹の手のひらがヒナの胸に触れ、すくい上げるようにしてやんわりと力を込めた。 「ひっ、ひ――――ッ!!」  恥ずかしさと全身を駆け抜ける戦慄に、細い掠れ声で絶叫したヒナは、目に涙をためながら樹に訴えた。
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