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――――ななな、なんで!? 一体どういうこと!?
ヒナは息を呑んだまま唖然となる。
今のこの状況が全く理解出来ない。
ヒナは半身を少しだけ起こした体勢のまま、これは夢に違いないと頭が現実逃避し出す。
試しに頬をぎゅっとつねってみて、感じた痛みに愕然とする。
すうっと意識が遠退きそうになった。
なんで自分だけが素っ裸なのか、全く分からない。
樹はちゃんとパジャマを着ているというのに。
とにかくこのままじゃマズいと、ヒナはふらつきながらも視線を巡らせる。
パンツは一体いずこへ……と、忙しなく辺りを見回した。
足元に昨夜着ていたカーディガンとスカート、トレーナーがくしゃくしゃになって転がっているのを見つけて、ホッとする。
下着はどこだろうとキョロキョロしていたら、何故かベッド下の枕元にポイッと無造作に転がっていた。
ヒナは麻の如く乱れに乱れまくった思考を立て直すことが出来なくて。
とにかく、まずはあそこに転がっている下着を回収せねばと、ヒナはしがみつく樹の腕をなんとか解き、身体を起こそうとして、またもあっと声をあげた。
「……いったっ……」
いきなり身体の中心に鈍い痛みが走ったのだ。
腰に手を添えて、鈍痛に顔を顰めながら少し前のめりになってしまう。
「ぃ、たた、なに、これ……」
痛みを騙し騙し、そろりとベッドから降りた。
下着と服を拾い集め、部屋の端っこで樹を窺いながら着替えを終える。
着替えながら、昨日は一体どうしたかと思いだしてみるのだが、誤解を解いた辺りから記憶がぼんやりと不明瞭で、はっきりと思い出すことが出来ない。
――――いったい何がどうなってこんな事態に!?
ヒナの頭には無数の疑問符が乱舞していた。
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