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「え? 病院?」
食べ終わった食器を引きながら、樹はきょとんとした顔を向けてくる。
ヒナは、冴えない憂鬱顔で食器を洗いながら「うん」と答えた。
「じんましんがね、またひどくなってきちゃって。ちょっと怖いから、この後病院行ってくるね」
「……ふーん。ちょっと見せて」
手にした食器をヒナに渡すついでに、樹はヒナが着ているトレーナーを背中からペロリとめくる。
突然感じた外気の冷たさに、ヒナはビクッと飛び上がった。
「きゃっ!? ウソッ、ちょっ、そんなにめくらないで!!」
ブラが見えてしまうほどめくられてしまい、びっくりしたヒナは、手にした食器をつるんと落としてしまう。
「ぅわっ、危なっ!」
床に激突寸前で、樹が食器をキャッチする。
二人はホッと胸をなで下ろした。
「ったく、気をつけてよ。怪我するだろーが」
「……ごめんなさい」
怒られてしゅんとしてしまう。
樹は首を振りながら、
「まあ、ヒナのドジは今に始まったことじゃないけど。でも、怪我だけはやめて。頼むから」
不安で眦を吊り上げた樹の真剣な顔。
ヒナはきゅっと胸が掴まれた気がして、熱を持ち出す顔を樹から逸らした。
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