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純人の双眸が驚愕に見開かれる。
またこの子供は何かするつもりなのかと、純人は警戒を強くした。
「飯島センセのそばにいるアンタだけは、ボクがしたことに気付くだろうって思ってたよ。だから、念のためにもう一つ用意させてもらったんだ」
そう言うと、樹は一枚の写真を取りだした。
写真を純人に見えるように掲げる。
それを見た純人の顔が、はっと驚きに歪んだ。
「これ、飯島センセのアパートから二人仲良く出てくる写真。これが学校にバレたら、今度は飯島センセが失職するだろーね」
「……なっ!?」
純人の身体が戦くようにビクリと揺れた。
飯島凜を守りたいと思っているはずの純人は、彼女に汚名を着せるような真似は決してしないだろう。
彼女を守るために、純人が選ばなければならない選択。
それは、一つしかない。
樹はククッと喉を鳴らした。
「アンタ、親が海外にいるって理由でセンセの所に転がり込んでるらしいけど。でもね、事実はどうでもいいんだよ。女教諭が男子高校生と一緒に住んでる。その事実だけでいい。マスコミやゴシップ誌が喜びそうなネタになるんじゃない?」
――――ヤツらが飛びつくような面白いシナリオ、ボクが作ってやるよ。
樹は尊大な態度で純人に告げる。
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