Ⅸ ~樹vs純人~

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「ふざけんな……ふざけんなよ、クソガキが! せっかく凜の過去を……記憶を封印してたのに……お前のせいで全部めちゃくちゃだ。許せねえ……っ!」  純人が放った怨嗟の声に、ヒナに向いていた樹の意識がスッと戻る。 「はあ? 過去の記憶を封印? なにそれ、アンタまさか……飯島センセの記憶をいじったのか?」  瞬間、純人がグッと詰まった。  樹は目を見開く。 「あははっ! 信じらんない、それってマインドコントロール!? 面白いコトするね、アンタ」  お腹を抱えて楽しげに嗤う樹を、純人は何も言えずに燃えるような激しい目で睨む。 「アンタにとってそんなに大切なオンナなんだ、飯島センセって。だったら、――――わかってるよね?」  笑いを止めた樹は、声を潜め、再度確認する。  答えなど聞くまでもなく分かっていた。  けれど、自分には逆らえないということを、はっきりと認識させる必要があった。 「……クソガキがっ!」  悔しげに吠える慟哭の声。  ふっと樹の唇が勝利に綻ぶ。
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