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「それ、誰かに試したりとかしてないよね? 純人」
「んー。ノーコメント?」
類の問いを、純人はさらりと躱(かわ)す。
「恐ッ! お前、マジで怖いわ!!」
「すみちゃんは誰かの記憶をすげ替えたり、書き換えたりしたいの?」
首を傾げたヒナは、素朴な疑問を純人へ投げる。そんなこと出来るのだろうかと好奇心の浮かぶ目が、ワクワクと楽しげに揺れていた。
「ん? 必要ならするんじゃない?」
「いやいや、おかしい。その発想はおかしいと激しく俺は思うんだけどっ」
罪悪感皆無な顔でさらりと告げた純人に、類は「お前は異常者かっ」と頭を抱えて懊悩する。
「類は頭が固いねえ」
大仰に歎息しながら呆れた口調で、純人は類を流し見た。
「いや、豆腐みたいに掴み所の無いふにゃんふにゃんな脳の純人よりは、俺のがマシじゃねえ?」
「オレはふにゃふにゃじゃないよ、失礼な。ちゃんと機能してるよ。『いざ』という時には硬度MAX、立派な仕事するんだから」
純人は秀麗な眉をキュッと寄せて類を睨む。
類はギョッとした顔で、ヒナと純人の顔を見比べた。
「……オイ純人。お前今、涼しい顔でしれっと下ネタ言っただろ? 知能指数の低いアホでバカな子、ヒナの前で」
剣呑な類の言葉に、ヒナは一瞬きょとんとする。
今、脳みその話してたんだよね? それがなんで下ネタに? ヒナは「なに言ってんの?」と頭を横に倒す。
そして、あっと顔を上げてケタケタ笑い出した。
「あははっ、やだ類ちゃんったら勘違い! 類ちゃんこそ人のことバカって言えないよ。ふふっ。すみちゃん、私もね、よく言われるんだー。近所の樹くんにね、ふにゃんふにゃんな脳みそしててバカ丸出しって。ヒッドいよねー、最近の小学生はホント口達者で、私、1回も勝てたことないんだよ」
「……よかった、ヒナがバカ丸出しで」
類の言葉に、ヒナは「またバカって言った!」と、唇を尖らせる。
「あのね。ホント、マジでウルサいから黙っててくれない?」
純人の低い不機嫌声に、ヒナと類は一気に口を噤(つぐ)んだ。
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