Ⅱ ~近所のお姉さん~

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「だから……っ、それが、ムリムリムリムリ――――ッ! ヒィッ!」  脱衣所にへたり込むヒナの服を、樹はぐいぐい引っ張り脱がそうとしてくる。  嗜虐的な笑みを浮かべながら嬉々とヒナの服を剥ぎ取る樹に、彼女は情けない半べそ顔で「後生だからやめてくれ」と訴えた。 「……ウルサいよ。17にもなって何泣いてんの? 情けないな。さっさと覚悟決めて脱ぎやがれっ」 「覚悟って何のカクゴ――――ッ!! ヒィ――――ッ」 「ん? ……イロイロされる覚悟かな?」  ニタリと凶悪面で小悪魔は微笑む。  キャパを超えたヒナは、クラリと目眩がした。  ふにゃりと力が抜けたヒナに、これ幸いと樹は鼻歌交じりに服を脱がしにかかる。 「ちょちょちょっ、い、樹くん、あの、あぅっ、――――やめてくださいおねがいします!!」  ヒナはふるふる震えながら懇願する。  だけれども。 「くくっ。たまんないな、ヒナの泣き顔。そんな顔されたら、余計に嗜虐心煽られて我慢できなくなるのに。自分で自分追い詰めて、ヒナ、おバカでカワイー」  上着とスカートをむしり取られて、ヒナは残された下着だけはなんとか死守する。 「チッ。鬱陶しいな。もうそれでいいや。ホラ」  ホラ、と足蹴にされたヒナは、浴室にコロンと転がされた。 「いったーッ!」  ヒナは樹に抗議してやろうと口を開いたんだけど、樹が堂々と全裸で入ってきて。  瞬間、ヒナのアゴがカクンと外れた。  以前見た、札幌雪祭りで展示されていた氷の彫像のごとく、ヒナはその場にカチンと凍り付いてしまう。
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