Ⅱ ~近所のお姉さん~

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「きゃあッ、冷たッ、」  冷たい水を掛けられて、きゅうっとヒナは竦み上がった。 「弟なんて言った罰。ホラ、早く脱がないと風邪引くよ?」 「うぅ、も、イジワルイジワルッ、家庭教師、も、やめるっ! 樹くんなんてキラ、」  グズグズとした泣き声で、ヒドいことをする樹にヒナは怒りをぶつける。  けれど、樹はすかさず「否」と言葉を重ねた。 「却下! ……話にならない」  鋭い声に、ヒナはハッと顔を上げた。 「……ねえ、ヒナ。ボクに逆らわない方がいいよ。キライなんて言葉いったが最後、ボク、どうなるかわかんないから。――――ねえ?」  くつくつ嗤う声に、ヒナは恐怖を覚えてしまう。  この子は絶対12歳なんかじゃない。  ヒナよりもずっと大人で狡猾で老獪な――――とても怖い存在だ。  ヒナはふるふる小刻みに震えながら、ポロポロ涙を流して樹を仰ぎ見た。
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