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「――――ああ、その怯えきった顔、たまんない。可愛くてもっとイジメたくなるじゃない。……ゾクゾクする。ふふっ。大好きだよ、ヒナ」
ぎゅうと力任せに抱きつかれて、シャワーの水と樹の胸に圧迫されて、ぷはっと顔を上げた時。
見計らったかのように、上から樹の唇が降ってきた。
「……ッん――――ッ!?」
――――樹くんに、キス……されてしまった。
ヒナはびっくりして目を見開いた。
ばちっと樹と目が合う。
互いの視線は絡み合ったまま、引き剥がすことが出来なくなる。
ヒナは驚愕の表情で、樹は目尻を赤く染めた誘うような婀娜めいた表情で、見つめ合ってしまう。
――――ああ、もう、頭がパンクする……。
遠退く意識の中、ヒナは後悔の念に苛まれた。
安易に家庭教師なんて引き受けたからこんなことになったのだと。
くるくると回転し出す天井を見上げたのを最後に、ヒナの意識はそこでぷつんと途切れてしまった。
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