Ⅲ ~天使な悪魔~

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「な、ど、どうして?」 「ウルサいな。なんでそんなことわざわざボクが言わなきゃならないわけ? ホント、バカにしてんの?」  ヒナに向けられた侮蔑混じりの嘲笑。  ゾクリとヒナの背が震えた。 「ダメだなあ。ホント、ヒナは分かってない。そんなこと言われて、男がオンナ諦めるとか思うわけ?」  諦めてくれると思ったヒナは、コクリと素直に頷いた。  樹は深く嘆息して、 「余計、煽られるだけなんだけど。ヒナってどんだけ恋愛経験皆無なんだ。……知ってたけどね」  樹はグッとヒナの首筋を押さえた。  苦しくはないが、まるで首を絞められるような仕草に、びっくりしたヒナの身体が大きく揺れる。 「でもね、そー言う迂闊なセリフ、ボクの前で言わない方がいいと思うな。だって」  ゆっくりと獲物を追い詰めるような残虐さを眸に滲ませながら、樹は恍惚と言葉を紡ぐ。  ヒナはクラリとした。  なんだろう。  頭に靄がかかるような、そんな不可思議な心地に目眩がする。 「ヒナを壊したくなるから」
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