Ⅳ ~揺れる想い~

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「ヒナ、ごはんできたよ。ヒナが好きなクラムチャウダーも甘い卵焼きも作ったんだよ」  樹の声に思わず「ひゃっ」と声を上げてしまう。ヒナは慌てて樹に視線を合わせた。 「? どーしたの。顔、真っ赤。それに、なにをそんなに焦ってるの?」  ギクリとした。  樹のことを考えていたのがバレてしまったかと思い、ヒナはさらに顔を赤くして、 「あああ焦ってないよ? なんでもないし、何も考えてないし、寝てただけだし、ホントにホント」  えへへと引き攣り笑いを浮かべながら、訳の分からない言い訳じみたセリフをまくし立ててしまう。 「? 変なヒナ。ほら、さっさとおいで」  促されるまま、ヒナは樹に手を引かれ彼の後にしおしおと続いた。 「あっ、すごーい! これ、樹くんが全部作ったの!?」  食卓テーブルに並ぶ朝食を見たヒナの顔がパアッと輝く。  クラムチャウダーにタコさんウィンナー、生ハムサラダにクロワッサン、樹の得意な甘い卵焼き、そして、温かいココア。  ヒナが大好きなものばかりだった。 「母さんが料理好きだからね。見てて覚えた」  樹は照れくさそうな顔で小さくはにかんだ。
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