2645人が本棚に入れています
本棚に追加
「――――ごめんね? センセ。アンタにはスケープゴート(生け贄)になってもらうよ」
職員室へと向かう飯島の姿を、樹は靴箱に凭れながら睥睨する。
色悪な笑みを顔に浮かべ、くつくつ喉を震わせながら呟いた。
「さあ。これで終わり」
これで胸の痼(しこ)りは一つなくなった。
清々しい気分のまま、樹はきびすを返すと教室まで歩き出す。
けれど。
今朝、ヒナに纏わり付いていた類という男の存在も気になる。
少し泳がせて、ヒナに恋慕を抱くようなら、河居同様潰さなければならない。
――――今までそうしてきたように。
愉しげに嗤う樹には、罪悪感など微塵もなかった。
最初のコメントを投稿しよう!