Ⅴ ~罠~

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「――――ごめんね? センセ。アンタにはスケープゴート(生け贄)になってもらうよ」  職員室へと向かう飯島の姿を、樹は靴箱に凭れながら睥睨する。  色悪な笑みを顔に浮かべ、くつくつ喉を震わせながら呟いた。 「さあ。これで終わり」  これで胸の痼(しこ)りは一つなくなった。  清々しい気分のまま、樹はきびすを返すと教室まで歩き出す。  けれど。  今朝、ヒナに纏わり付いていた類という男の存在も気になる。  少し泳がせて、ヒナに恋慕を抱くようなら、河居同様潰さなければならない。  ――――今までそうしてきたように。  愉しげに嗤う樹には、罪悪感など微塵もなかった。
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