Ⅵ ~ライバル参戦~

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 サーッと顔面蒼白になり動きを止めた類は、ヒナの首筋をなにやら難しい顔つきで食い入るように見つめている。  それに釣られて純人もヒナの首筋に視線を移し、そして、ハッと驚いた顔をした。 「え? なに? ふたりとも……」  いきなり自分を見つめたまま無言になる二人に、ヒナは不安に駆られてしまう。 「……ヒナ、その首筋、どーしたの?」  純人の言葉に、ヒナはあっと声を上げた。 「じんましんができてるんだよ。一昨日から。だから念のために昨日学校休んでたんだ」  ヒナはなんでもないように言う。その答えに二人の顔が凍り付いた。 「は? じんましん? これが?」  純人の双眸がスッと眇められる。  ヒナは「なんでそんな顔するの?」と、首を傾げた。 「うん。樹くんがそう言ってたから間違いないよ?」 「……樹って、さっきまで一緒だったガキだよな?」  先ほどとは打って変わった真剣な顔で、類はヒナに尋ねた。 「うん。そうだよ」 「ヒナ、これってキスマークじゃねえ?」  類の訝しむ声にヒナは目を丸くする。そして、「あり得ない!」と爆笑した。 「あははっ! 違うよ、なんでそんなものが私にあるの。だいたいそんなのマンガでしか見たことないよ。これはただのじんましん。身体中にいっぱいあるもん」  ヒナはお腹を抱えて笑う。  けれど、二人の表情は真剣そのもので。  またも不安に苛まれ、ヒナの笑いがピタリと止まった。
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