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「……身体中に? それも、いっぱいあるの? 痒い?」
「痒くはないんだけどね。一過性のものなんだって」
樹くんが言ってたと、純人の問いにヒナは答えた。
「ヒナ、最近誰かを家に泊めたり、泊まりに行ったりした?」
続け様に純人はヒナに質問する。ヒナは訝しむように首を傾げた。
「樹くんが一昨日からお泊まりに来てるけど、なに?」
何故そんなことをいきなり言い出すのか訳が分からない。
ヒナの答えに、純人と類は意味ありげに顔を見合わせ、苦り切った顔つきになる。
純人はまた大きなため息をつくと、類に顔を寄せ、声を潜めて耳打ちした。
「……類。これは急がないとかなりヤバそうだよ」
「マ、マジか」
類は頭を抱えながら、いきなり「あ゛あ゛あ゛――――っ」と奇声を発し、ヒナの机の前で蹲ってしまう。
そんな類を横目に、純人はヒナに視線を流し、固い声で忠告してきた。
「ヒナは少し危機感を持った方がいい」
「え? なにが?」
ただのじんましんなのに、何をふたりして真剣に語っているのか意味が分からない。
ヒナは訳がわからず疑問符を頭に飛ばす。
そんなヒナに、純人は嘆くような長い吐息を零したのだった。
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