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ヒナは美術室を出て思いきり走った。
今までこんなに真剣に走ったことはないと断言できるほど、全速力で校内を駆け抜けた。
確か、まだ教室には純人がいたはず。
知らせなければ。
早く、早く。
そう思い、一心不乱に廊下を疾走した。
「すみちゃん!!」
ガラッと教室の扉を開け放ち、視線を流して純人の姿を探す。
「あれ、どーした、ヒナ」
ヒナの目が類と純人の姿を捉えた。
大きく肩で息を吐きながら、ヒナは泣き顔のまま叫んだ。
「大変! すみちゃんの好きな人……リンさんが、リンさんが襲われてるッ!! 美術準備室! 早く、急いでっ!」
純人は驚愕に眸を見開く。そして、ヒナの言葉を全て聞き終わる前に、弾丸のように教室から飛び出した。
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