Ⅵ ~ライバル参戦~

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 ヒナは美術室を出て思いきり走った。  今までこんなに真剣に走ったことはないと断言できるほど、全速力で校内を駆け抜けた。  確か、まだ教室には純人がいたはず。  知らせなければ。  早く、早く。  そう思い、一心不乱に廊下を疾走した。 「すみちゃん!!」  ガラッと教室の扉を開け放ち、視線を流して純人の姿を探す。 「あれ、どーした、ヒナ」  ヒナの目が類と純人の姿を捉えた。  大きく肩で息を吐きながら、ヒナは泣き顔のまま叫んだ。 「大変! すみちゃんの好きな人……リンさんが、リンさんが襲われてるッ!! 美術準備室! 早く、急いでっ!」  純人は驚愕に眸を見開く。そして、ヒナの言葉を全て聞き終わる前に、弾丸のように教室から飛び出した。
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