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「あった」
やがて何かを見つけたらしいリリィ。しかし俺には何かがあるようには見えない。
「これは常設門じゃない?でも今広げれば」
リリィは一人呟きながらもソレがあるらしい方向を向いて、胸の前で手のひらを合わせて祈るような姿勢を取る。するとうっすらと門のような物が見えてくる。天界に入った時に通ったのよりも小さく、形も違う。それでも人が一人通る事を考えればかなり大きい門だ。装飾も派手とはとても言えず、通れればいいという思いを具現化したような門だ。半透明の門に見惚れていると、いつの間にかリリィが門に近付き、右側の柱のような部分に触れた。
「凄い、消えかかってたのに安定してる」
正直良く分からない。門の奥に見えるのは普段と変わらない景色なのに、下を潜ったら別の場所にいる。天界の時の感覚はそんな感じだった。今回もそんな感じなんだろう。門の奥に見えるのはやっぱり俺達のいる世界の景色だ。
「一度私だけで入るね。本当に私の力で大丈夫か分からないから」
「分かった。頼む」
説明を受けても分からないだろうからと思い、リリィの提案に任せる。リリィは頷くと、門の下を潜っていく。するとリリィの姿は消えてしまった。無事に暗黒界に辿り着いただろうか。俺は待っている間に魔法の中にバギーを入れ、リリィが戻ってくるのを待った。
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