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「お待たせー」
間もなくしてリリィが戻ってくる。普通に行き来は出来るようだ。それもリリィだからなのかもしれないけど。
「聞いてた通り、魔力濃度が高いね。でもあれくらいなら大丈夫だと思う」
リリィの説明を聞いて安心する。相変わらず理解出来ない単語はあるが、この際それは諦めるしかない。
「でもいくつか注意して欲しい事があるの」
「なんだ?」
「今から私の魔法で魁君を包む。魔力に耐えられるようにね。その間、私は他の魔法は使えない。ちょっとずつだけど魔力を消費するから滞在時間を増やす為にも、それは必須。だからもしあっちの世界で戦うような事になっても私は力になれない。それと、基本的に私から離れようとしないで。今から使う魔法は、使用者、つまり私に近ければ近いほど効果を発揮する。離れても使えなくはないけど、消費する魔力は増えるから滞在時間は減る。それも出来れば避けたい。必然的にといっていいのか分からないけど、魁君も戦うのは難しいと思う。だから戦いになりそうなら逃げる。これを守って欲しいの」
リリィの魔法に頼れない。戦闘はせずに逃げる。リリィから離れない。俺はリリィの言葉の脳内で要約しながら理解する。戦う事になったら兄貴達に頼ればいいし、リス達を見つけたら、問答無用で連れ帰ればいいって事だな。それならなんとかなるだろう。
「分かった」
「じゃあ、こっちへ。魔法をかけるから」
俺はリリィに呼ばれて門に歩み寄る。門のほぼ真下まで来て、俺は足を止めた。
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