乱舞と真実

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 黒炎龍の元で魁が来るのを待つ。俺は黒炎龍の傍で座っており、チスイとレーラは少し離れた所に、ザンジバルは周りを警戒すると言って大きな岩の上に登っている。  どんどん近付いてくる異質の魔力の速度は異常と言える物だ。魁はいったいどんな方法でこの暗黒界に入ったのだろうか。  そしてもう一つ。異質の魔力が強すぎて感知しづらいが、俺達の方に向かっている魔力の集団を感じる。個々の強さはそこまでではないがその数は百近くあるだろうか。この世界の地理や情勢が分からない俺にはこれが偶然なのか、何か意図された物なのかは分からない。どっちにしても警戒しておいて損はないだろう。 「おい、仁。いい加減その辺にしとけ。身体が持たねえぞ」 「ああ」  黒炎龍が俺を止めに入る。俺も返事こそするが、気にしないというのは無理であった。 「ああ、そうだ。お前に渡すもんがあった」 「なんだ?」 「コイツだ」  黒炎龍はそう言って俺の前に赤黒い物を置く。俺にはそれが一目で何か分かった。 「これってお前の鱗だろ?どうして」  黒炎龍の皮膚の大半を覆うようにして身体を守っている鱗。その鱗と今俺の目の前に置かれた物はどう見ても同様の物であった。 「前にお前の、雷ので出来た刀を燃やしちまっただろ。これがあれば直せる。持って行け。どうせ俺の所にあってももう意味をなさない物だしな」  黒炎龍にしてみれば何千、何万とある鱗の一つに過ぎないのだろう。それでも俺の事を気にかけてくれる事が嬉しかった。
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