初々しいすき

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「同い年、ですし」 「そうですね」 「ほら、また」 「あ、本当ですね」  ふたりでふふっと笑いあう。 「結城くんも、ずっと敬語で……だよ」  勇気を出して、敬語をやめる。「だよ」はすごい不自然になってしまったけれど。 「あ」  今気づいたとばかりに、結城くんは口に手を当てる。 「自分で言っておきながら、自分が一番使っていたなんてね」 「ふふ」 「中西さん」 「はい」 「かお、か……」  顔を真っ赤に染めながら、結城くんは私へ一歩近づく。 「かお、り」 「……っ、はい」  私の名前。 「かおり」  あなたに呼ばれると、胸が締め付けられる。 「これから、そう呼んでも、いい?」  ぶんぶんと頭を縦に振る。 「たくさん呼んでください」 「うん」  照れ笑い、その顔、大好きです……。
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