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「どうして?!」
「ん?だって25日だよ。約束したじゃん。今日会うって」
「そうだけど……だけどっ!」
はらはらと降ってきた小さな白い粒が、彼のピーコートに模様をつけていく。
抱きしめられて溢れた涙は、頬を伝っていく間に冷たくなる。
「ごめんね、待てなかった。早く莉緒に会いたくて……このまま聞いてくれる?」
力いっぱいに包まれる腕の中は、とても窮屈だけど心地いい。
「……ん」
胸の奥が痛くて切なくて、声が出ないよ。
「俺ね、ずっとバスケに関わっていたいから医者になるって決めた。親の背中を追うんじゃなくて、なりたいからなろうと思う」
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