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ーー3月、桜が満開で街のあちこちがピンクに彩られている。
「……寂しくなるね」
「でもまた会えるから。大学は違うけど、私たちはこれからも友達だからね」
卒業式の後、在校生に見送られて集まったグラウンドで、夕里と美月、仲のいいクラスメートたちと桜の木の下で話す。
美月だけが、音大に通うことになって、私たちはこの3年間と同じ毎日を送ることができなくなる。
夕里がおせっかいだったり、美月が冷静に彼女のノロケる姿を見ていたり、私が泣いていたら心の底から心配してくれて、楽しいことは一緒にいたら何倍にもなった。
私のことをいつも助けてくれた2人に出会えたから、3年間の毎日は本当に楽しかったよ。
「莉緒」
フェンスの向こうに、予定通り迎えに来てくれた彼は、似たような細長い筒を持っている。
「春休み、遊ぼうね!」
「うん、じゃあ……またね!」
2人に大きく手を振って、宮崎くんと人が疎らになった校内へと向かった。
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