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「日本の卒業式って、なんか泣かせようとするよなぁ。しんみり感出すぎ」
初めて日本の卒業式を経験した宮崎くんと手を繋いで、音楽室のドアを引いた。
綺麗な桜色が街のあちこちに見えて、2羽の鳥が遊ぶように飛ぶ青空を眺めるのは、思い出の場所。隣を見上げると、私を見つめる彼と目が合った。
「莉緒、卒業おめでと」
「宮崎くんも、卒業おめでとう」
ふふっと、どちらからともなく笑って、宮崎くんが私にこつんと頭を乗せてきた。
「ねぇねぇ、キスして」
「今?」
「うん」
「しかたねーなぁ」
そう言って、彼は私にやわらかなキスをくれた。
「……もう1回、して?」
彼がすごく驚いた顔をしたけど、おでこをくっつけて、見つめ合って、またやわらかく重ねてくれて……。
「私も、世界で1番大好きだよ」
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