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時は流れ、俺とちひろは同じハイスクールへ。
だけど、距離が縮まることはなく、朝陽とちひろばかりが仲良くなる一方だ。
ちひろのおかげで弟の日本語力も付いて、何不自由なく話せるほどになった。
ただ、そのせいで……。
「ちーちゃん、明日予定ある?俺とデートしてよ。」
中学生のくせに色っぽい表情でちひろを誘うようになった。
「明日はピアノがあるから無理よ。」
ピアノがなかったらOKみたいなその返事も俺は気に食わないけど。
「じゃあいつなら俺といてくれる?待ちきれないよ。」
「朝陽が大人になってからよ。」
弟の一人称も僕から俺に変わり、待ちきれないだとか言うようになった。
「ちひろ、もう帰るの?」
「うん、大翔くんまたね。」
俺とはろくに話してくれない。
全ては幼い頃のキスのせい。
「あ、ちーちゃん待って。」
玄関で呼び止められた彼女を、後ろから抱きしめた朝陽。
「明日、誕生日でしょ?今のうちにこれあげるね。」
ネックレスを着けてあげた弟に、ちひろは向き直って抱きついた。
「こういうサプライズ、私は大好きよ。朝陽、素敵ね!」
俺だって、プレゼント用意してるのに。
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