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「大翔、遅いよ……もう。」
俺が日本の大学に進学することが決まって、ニューヨークに残る彼女に告白をした。
離れてしまうなら、どんな答えだろうと伝えておきたくて。
「遅いよ、どうして今なの?」
「…どうしてって……。」
ちひろの言いたいことがいまいち分からないまま、逃げるように駆け出した彼女を追いかけることすらできなかった。
もう本当に終わったんだって、現実を受け入れる準備が始まっていく。
携帯が震えて、ハイスクールからの帰り道、自転車を運転しながら話す。
「兄貴、ふざけんなよ。なんでちーちゃんが俺に泣きついてくるんだよ。なにをしたんだよ!」
先に帰宅していた朝陽が、電話に出るなり怒鳴りつけてきた。
「なにもしてないよ。もう会えなくなるって言っただけ。だから、告白して振られたのは俺の方なんだけど…女ってわかんねーわ。」
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