[番外編] 大翔とちひろの恋

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日本に来て約2年が経った頃、両親と朝陽が帰国した。 「つーか、スカイツリーって結構細いんだな。」 初めて母国の地に降り立った弟の第一声はこれだった。 『久々に会う兄と感動の再会!』みたいなのを期待していた俺は、相変わらずこいつには裏切られっぱなしだ。 「朝陽、デカくなった?」 「178cm。もうちょい欲しいんだよなー。その方が日本の女子にはモテるって聞いてさ。そうなの?」 「まぁ、中身が大切だと思うよ。」 あと2cmで追いつかれる身長は、ほぼ横並び。同じ高さの視線に慣れなくて話しにくささえ感じる。 「昂明高のバスケ部に入部したらさ、試合観に来てよね。ちーちゃんにも言っておいたから。」 家に着いて、母親に自分の部屋を教えてもらった朝陽は俺の返事を聞くことなくドアを閉めた。 「分かったよ。日程決まったらすぐに教えて。」 「んー。」 適当な相槌のような声が、ドアの向こうから聞こえた。 いつの間に、そんな気を回せるようになったんだ、こいつは。2年の間に、随分大人になったんだなぁ。 「朝陽、開けるぞ。」 荷物整理をしている弟に声を掛けて、キッチンから持ってきたコーラのペットボトルをそっと置いた。
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