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「うち、来ればいいんじゃない?」
「え」
「もし良かったらだけど、この近くなんだ。
最終バスがもうすぐ来ると思うし」
ええっ?
そ、それは、
「いや、でもそんな急に伺うとか、
先輩のご家族の方に……」
迷惑かける訳には……、と思いっきり両手を左右にバタつかせるも---
「俺、一人暮らしだから」
---キョトン顔で私を見つめ返す先輩。
「え、……いや、えっ……と」
しどろもどろの言葉で何とか先輩に答えようと声を出す。
えっと?
……なんでこんな展開になってるんだっけ?……
わけがわからないぞ。
先輩に再会して、頭が沸騰しそうなのに、
それ以上に先輩の部屋に呼ばれるとかそんなのそんなの……
って、、
……あれ?
「せ、先輩っ、
いつ日本に帰って来られたんですか?」
「え?……ああ、今朝だよ。
高嶺に連絡しなきゃと思ってたら、
本人に会えちゃったみたいだね」
「…………」
……みたいだね……って……
”なんとも、仕方なく会えちゃったね”って感じがする言い方ですが、
まあ敢えて気にはしません!!
私は打たれ強い子なんです!!
「と、いいますか、
先輩って、大学の頃は実家暮らしでしたよね?
一人暮らしって、いつ……」
「高嶺、話の続きは俺の家で。
終バス乗り損ねそう」
「あ、えっ?」
先輩が混乱したまま動けないでいた私の手を取って、走り出した。
……え?
走るっ!?
手~!?
手を繋いでって、えええええ~~~!?!?
なんとも素敵な夜の街へと
ランデブーしそうな展開じゃあないですかっ!!
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