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「君、色々嗅ぎ回ってるみたいだけど僕の唯斗に何がしたいの?」
屋上で待っていたのは、さっきまでの笑顔ではなく、怒りを露にした姿だった。
風に靡く茶色い髪に、やや垂れた瞳には怒りと憎しみが込められているようにも見える。
「お前何言ってんだよ。俺が聞きたいのは特待生組の寮で、角部屋の奴なんだけど?」
「だからそれが唯斗だって言ってるんだよ!!イジめる奴は僕が許さないから」
「お前、なんか勘違いしてるようだけど俺は別にそいつをイジめるつもりは………うぉっ」
俺の言葉を無視して、そいつの鋭い蹴りが顔を目掛けて容赦なく狙ってくる。
「だから俺はこの小銭入れを返したいだけなんだよっ」
ポケットから取り出した小銭入れを見て、そいつはようやく動きを止めてくれた。
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