プロローグ

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(おかしいよ、こんなの。………なんで?僕の嫌いな事を言われたのに、なんで?) その思いとは裏腹に、心臓は早くなり次第に苦しくなってくるのを感じた。 「ご、ごめんね日向君。僕飲み物買ってくるから少しだけ待ってて?」 僕はこの感情が何なのか分からずに、逃げるように小銭入れを手に持ち、部屋を飛び出した。 何も考えず廊下を走っていると、誰かとぶつかり僕はそのまま尻餅をついてしまう。 「廊下を走ってると危ない………、って柊君か。君が走るなんて珍しいね。」 そう言われ見上げると、立っていたのは理科の先生である渡辺先生だった。 「す、すみません。急いでいたので……」 立ち上がった僕はそう言うと、頭を下げて早々にその場から立ち去った。 (僕、渡辺先生苦手だなぁ。何が苦手なのかは分からないけど) そんな事を思いながら走る僕の遠くなる後ろ姿を、じっと見つめる人物が居たのを僕は知る由もなかった。
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