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俺はいつも寮から学園に向かう途中で、じっと見つめてくる視線を感じていた。
(今日もあの人、俺の事を見てるな)
横目で見ていると、急に強い風が吹き俺は驚きで目を見開いた。
風に靡いた長い前髪に垂れた瞳。そしてまだ幼さが残る童顔をしている。
(入学式の日にぶつかった人だったのか!?それよりも………やっぱり、めちゃくちゃ可愛い)
見惚れているとその人物は俺の視線に気付き慌てて、窓を締めてレースのカーテンまで閉めやがった。
(あんたは俺の事ずっと見てる癖によ)
「仕方ねぇ、少し聞いてみるか。返すもんもあるし」
そう口に出しながら、ポケットに入れた物を握りしめて歩き出した。
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