プロローグ

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少しだけ開けられたドアから僕は顔を覗かせる。 「あ、あの僕に何か用なの?」 緊張のあまり素っ気ない態度をとる僕に彼はポケットから何かを取り出した。 「これってアンタのだろ?名前も部屋も分からねぇから探すのに苦労したんだぞ?」 そう言ってその何かを僕に手渡してくれる。 (これって僕の小銭入れっ。この為にわざわざ来てくれたんだ……、なんていい人なんだろう) 嬉しさのあまり受け取ったそれを、僕は無意識に胸の前でぎゅっと握ってしまっていた。 (そ、そうだ何かお礼しないと失礼だよね) そう決意し僕は彼を自室へ招き入れた。
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