僕はカミサマ転生役

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ーーーーーーーーーーーー む、なんだかシリアスな雰囲気を感じ取りました こう見えて空気を読むスキルは神界一と自負してますから。相手が直接相談を持ちかけてきた時なんて必須スキルです というわけで空気がそろそろ出ろよと言っているので、引っ張られる力に身をまかすことにしましょう うわー引っ張られるー(棒読み) ーーーーーーーーーーーー 「だ、旦那様!お生まれになりました!」 「よかった……っ!本当によかった……っ!」 これほどまでに涙を流したのはいつぶりだろう いつもは弱みを見せまいと気丈に振る舞い、決して屈さないという意思を見せるためにしかめっ面で しかし、今この瞬間は、あふれ出る涙が止まらない 「あなた……」 「あぁ……よかった……」 妻の身の安全がわかってホッとして、そして新たな尊き命が生まれてきてくれたことへの感謝で、多分私の顔は今グチャグチャだろう 使用人も皆泣いており、この場には涙と笑顔が混じった暖かい空気が流れていた 一人の使用人を除いて 「だ、旦那様……」 「……どうした」 使用人は今まさに誕生した命をタオルに包んで抱いており、しかしその表情は優れない 「……泣きません」 「……なに?」 「先程から一度も……泣かないんです」 それが悪いことかどうかはわからなかったが、使用人の表情からして普通ではないことがわかった 「それは悪いことなのか?」 「いえ……きちんと呼吸もできているので心配はいりませんが……」 浮かない表情の使用人だが、何も問題ないだろうということでその話は終わり、妻に抱かせてやる 幸せな空間が形成され、些細なことなど気にする様子も無く、緩やかな空気が醸し出された
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