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どれぐらい走ったのか分からない。だが後ろが怖くて振り向けない。僕の体力もそろそろ限界だ。
立ち止まったその時
ーーーーーーーーヒューヒュー
風を切る音が二つ聞こえ、次に痛みが襲って来た。
「アアッッ」
見ると痛みを感じた所が服ごと切れ、血が出ていた。血が出ていたのは腕と足。傷は少し深そうだ。
そして男の後ろにあった人の手。あの断面も綺麗だった。もしかして?
「ハハハハ。俺からは逃げられないぞ」
「あっ……しまった」
走るのを止めてしまったせいで男に追い付かれた。
「その顔だ!どうして切れるのか、知りたいだろ?アハハハハ、教えてやるよ、俺は能力者なんだ」
「能力…者」
(もしかしてあの噂は本当だったのか?)
「この能力のお陰で俺は強くなれた…最強になれたんだよ!人を殺しても楽しくて仕方ない」
男は狂ったように笑い出す。そんな姿に僕は段々と腹が立ってきた。不思議だった。こんなに怖いのに、殺されそうなのにそう思えるなんて…
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