第一章

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どれぐらい走ったのか分からない。だが後ろが怖くて振り向けない。僕の体力もそろそろ限界だ。 立ち止まったその時 ーーーーーーーーヒューヒュー 風を切る音が二つ聞こえ、次に痛みが襲って来た。 「アアッッ」 見ると痛みを感じた所が服ごと切れ、血が出ていた。血が出ていたのは腕と足。傷は少し深そうだ。 そして男の後ろにあった人の手。あの断面も綺麗だった。もしかして? 「ハハハハ。俺からは逃げられないぞ」 「あっ……しまった」 走るのを止めてしまったせいで男に追い付かれた。 「その顔だ!どうして切れるのか、知りたいだろ?アハハハハ、教えてやるよ、俺は能力者なんだ」 「能力…者」 (もしかしてあの噂は本当だったのか?) 「この能力のお陰で俺は強くなれた…最強になれたんだよ!人を殺しても楽しくて仕方ない」 男は狂ったように笑い出す。そんな姿に僕は段々と腹が立ってきた。不思議だった。こんなに怖いのに、殺されそうなのにそう思えるなんて…
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