第一章

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しばらく歩くと少し広い通りに出た。人気が少なくまだ不安は続いている。 早足で帰ろうとした時、踞っている人が目に入った。その人はうーうーと唸っていた。 (どこか苦しいのか?) 声を掛けようと近付くとその人は何か喋り始めた。 「まだだ!まだ俺は出来るんだぁ!!もっともっと集めてやる」 男はそう叫ぶと共に立ち上がり僕の方に振り向く。男は痩せ細り、ボロボロの服を身に纏っている。そして男の後ろには何かがある…けど暗くて分からない。 街灯が三本。その中の一つだけが着いてない。チカチカという音をたてて着いてなかった一つの街灯が着いて男の後ろにある物が何なのか分かる。 「うっ」 それは紛れもない、人の手だった。それを見た僕は思わず吐きそうになってしまった。 「…お前……見たなぁ?」 男はニヤリと笑う。そしてその笑みは次はお前を殺すと言ってるような気がして背筋が凍りつく。 「うわああっ」 僕は無我夢中で逃げた。何度も転びそうになるがそれでも止まる訳にはいかない。
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