47人が本棚に入れています
本棚に追加
***
「もう会わない。
これで最後だ。」
シャツを着ながらベッドに横たわる女に言う。
誘ってきたのは女のほう。
それに乗っただけ。
そんな風に言い訳をするけど、
冷静に考えたら酷い男だ。
俺は俳優だから、
本当の顔は見せない。
俺の心の中には
なぜかいつも隙間風が吹いてて、
それを埋める人を捜してるんだ。
狙った女は必ず落とすプレイボーイ。
そんなタイトルが付いた俺、
それを自で行ってる。
「浮気なんて男の甲斐性だからね?
気にしないよ?
パパだっていつも女の人、居たし。」
彼女気取りの寧々が言う。
だから、
こんな子供、
俺の眼中にはないんだって。
手を出す気にもならないし…
もっと落ち着けて、
もっと楽でいられる女、
どこかに居ないかなあ…
あの時、
澪に再会したとき。
何であんなことを言ったんだろう。
せめて、
あの時は本気だったと…
俺のすべてだったと…
伝えておけばよかった。
先輩が居たから…
あのあと、追いかけて、
本当の気持ちを伝えていられたら、
いい思い出になったと想うのに。
俺の
負け惜しみ。
恨んで
でも、
逢いたくて。
その葛藤の中で生まれた
捻れた感情。
最初のコメントを投稿しよう!