0人が本棚に入れています
本棚に追加
2035.10.11
日本国
日本自衛軍福岡駐屯地
第27航空基地
12:33
《1230時中国軍機が領空侵犯のち1233時、中華連邦共和国より宣戦布告。既に対馬北50kmの空域でグリフィス隊、トロール隊が交戦中。尖閣でも交戦中とのことだ。ルーカス隊、ハッシュ隊は7番、8番ハンガーへ。》
けたたましい警告音と共に流れた基地内放送は隊員たちについに来たかという緊張感をもたらした。
待機室にいたルーカス隊隊長、清水和弘大尉は放送を聞いて動けずにいた。清水はもともと民間機のパイロットになるという夢があった。しかし民間会社に採用されなかったため仕方なく航空大学校にいき自衛隊に数年いたあと民間に降りる気でいたのだが、操縦技能のたかさとあまり主張しない性格によりズルズルと自衛隊に残っていたのである。清水は死にたくなかった。
「隊長、行きましょう」
「……そうだな」
副隊長である尾野由貴中尉によびかけられはっとした清水はそのピリピリとした空気を感じながら待機室を出た。
2028年に改正された日米安保理により米軍をあてにするのは危険と判断した日本政府は、同年に自衛隊を自衛軍とし防衛費をそれまでの1.6倍に引き上げ拡充を図った。しかし2年後の2030年、中華人民共和国における革命により樹立した新政府中華連邦共和国はそれまで以上に領土侵略を強化。周辺国はその圧倒的な物量戦法とレーダーを弱める新技術、カウンターレーダー技術などの想像を超える軍事力により国境防衛線を崩され新中国は徐々に領土を拡大していった。すでに形骸化していた国連は新中国政府に警告文を出すだけでなにもできず、米駐屯軍も周辺国首都を防衛することで精一杯であった。
そしておよそ5年の間の快進撃により新中国はついに日本に手を出してきたわけである。
最初のコメントを投稿しよう!