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少し目線を下げたところにある球体型ホログラムには三次元レーダー情報が立体的に映し出されている。
清水はホログラムで他の機が上がったことを確認すると待機旋回を止め指定針路をとった。
『ルーカス隊、続きます』
部隊通信で尾野が言うと清水の機に続き隊列を組んだ。綺麗なダイアモンド隊形だ。最新鋭機を与えられる隊だけのことはある。
すぐにAWACS早期警戒機の指揮空域に入ると通信が入った。
『こちら早期警戒官制機スカイノルン。接近をリンクにより確認した』
「こちら日本自衛空軍ルーカス隊、清水大尉だ。貴機の誘導下に入る」
『了解した。戦況をリンクコード12で送る』
戦況はひどいものだった。戦力比はざっと1000:300ほど。質では勝っているものの圧倒的に量が足りない上、中国は大量の中空母や後方基地から波状的に戦力を投入してきていた。
また電子戦機から発されている何らかの妨害波により長距離火器レーダーが弱められ長距離ミサイルやイージス艦による支援も満足の行くものではない。重粒子の拡散によるものではないかと言われているが定かではない上対抗策がみつかっていないのが現状だ。早期警戒官制機も敵の全てを捉えきれてはいないので友軍とのリンク中継や司令所のような役割でしかなく、戦闘空域では近年まで起こり得ないと思われていたドッグファイトが起こっている。
しかし日本の主力はオフボアに長けたF-35である。それなりの空戦能力はあるが中華連邦のJ-50はドッグファイト専門のような機体であり分が悪い。
中短距離ミサイルをバラまくと背を向けて逃げ、それをF/A-42部隊が援護するという戦法が取られてはいるがF/A-42は少数しか配備されておらず援護しきれないでJ-50をF-35に食いつかせてしまうことになり、自衛軍の戦闘機は落とされまくっていた。
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