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「着替えなら駅のコインロッカーに預けてあります。寮にあるものは借り物だし、あそこには戻りたくない……」
詳しい事情は聞かないようにした。
売り専ボーイとは、男専用の売春夫だ。
誠が男に体を売って暮らしていたなんて、ショックだが事実だろう。
ストレートな俺としては深く関わりたくない世界だ。
「寝るのはロフトでいいか? 敷き布団と毛布は俺のを貸してやる」
誠は物珍しそうに部屋を見回している。
「おいっ、聞いてんのか?」
「あっ、ごめんなさい……」
相変わらずぼんやりした奴だ。
自分のベッドから、敷き布団と毛布をロフトに上げてやった。
「狭いけど我慢しろよ」
梯子を降りると、ぶっきらぼうに言う。
「和馬兄さん彼女いるの?」
「あ?まあ居ることはいるな」
「そうだよね、兄さん昔からカッコ良くて、部活やってた時は、もててたよね。」
部活・・・、野球か。
俺は小学生の頃からずっとピッチャーだった。
「覚えたてんだな」
「忘れたことないよ。兄さんのことなら……」
ん? なんか誠の様子が……
「僕、ずっと好きだったんだ」
! 不意に抱きつかれた。
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