388人が本棚に入れています
本棚に追加
「なんだってそんな……」
少なからず知識はあった。
でもまさか誠がーー
「上京した時、住むところもお金も無くて、手っ取り早く稼げると思ったから……」
「で、今も続けてるのか?」
「はい。今夜指名してくれたお客さんの家に出張だったんですけど、過激なSMプレイを強要されて逃げてきました。店には戻れない。寮にも……」
俺は小さく溜め息を吐いた。
「……解ったよ、泊めてやる」
「本当?」
「但し、期限つきだ」
「うん、構わない。僕別の仕事探すつもりだから」
誠は、今まで見せたこともない笑顔を俺に向けた。
こいつが笑った顔見るの、初めてかも……
俺のアパートは、コーポタイプの二階建て。
部屋は1階の角。
就職と同時に住み替えた。
コンロ一体型の簡易キッチンと、六畳の洋間。
スペースは狭いが、ロフトが付いている。
どうせ寝に帰ってくるだけだし、十分といえた。
「入れよ、誠」
玄関先でまごついている誠を部屋の中に促した。
「おじゃまします」
「そういやお前、荷物は?」
最初のコメントを投稿しよう!