義兄弟

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「なんだってそんな……」 少なからず知識はあった。 でもまさか誠がーー 「上京した時、住むところもお金も無くて、手っ取り早く稼げると思ったから……」 「で、今も続けてるのか?」 「はい。今夜指名してくれたお客さんの家に出張だったんですけど、過激なSMプレイを強要されて逃げてきました。店には戻れない。寮にも……」 俺は小さく溜め息を吐いた。 「……解ったよ、泊めてやる」 「本当?」 「但し、期限つきだ」 「うん、構わない。僕別の仕事探すつもりだから」 誠は、今まで見せたこともない笑顔を俺に向けた。 こいつが笑った顔見るの、初めてかも…… 俺のアパートは、コーポタイプの二階建て。 部屋は1階の角。 就職と同時に住み替えた。 コンロ一体型の簡易キッチンと、六畳の洋間。 スペースは狭いが、ロフトが付いている。 どうせ寝に帰ってくるだけだし、十分といえた。 「入れよ、誠」 玄関先でまごついている誠を部屋の中に促した。 「おじゃまします」 「そういやお前、荷物は?」
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