279人が本棚に入れています
本棚に追加
惣太郎は部屋に入ると,ベットに寝転がって部屋の天井を見つめた。
(惣太郎)「はぁ…」。
惣太郎はため息をついた。
その時…
「コンコン」。
部屋のドアがノックされた。
(香穂)「惣太郎,入るよ?」。
来たのは香穂だった。
(惣太郎)「おっ,おう」。
惣太郎は驚いて慌てて起きあがった。
香穂はドアを開けて部屋に入ってきた。
(香穂)「ごめんね,疲れてるのに」。
(惣太郎)「おう,どうしたんだよ」。
(香穂)「やっぱ気になるよ。何で元気ないの?優勝したのにおかしいよ」。
香穂は惣太郎の隣に座った。
(惣太郎)「だから…何でもないってゆってるだろうが」。
惣太郎は何も話そうとしない。
(香穂)「何にもないわけないよ。あたしには何でも分かるんだから。お願い,話してよ…」。
香穂は本当に心配そうな表情で惣太郎に言った。
(惣太郎)「香穂…」。
惣太郎は限界だと思って…
(惣太郎)「わかったよ」
と正直に打ち明ける事にした。
(惣太郎)「香穂,今日俺が優勝を決めた最後の球,何だったか分かったか?」。
(香穂)「えっ?ストレートじゃなかったの?」。
(惣太郎)「違う…実はスライダーを投げたんだ」。
(香穂)「そうだったんだ。それがどうかしたの?」。
(惣太郎)「キャッチャーの慎太郎はあの時俺に真っ直ぐを要求したんだ。俺はその真っ直ぐのサインに2回首を振ってカーブを選択した。慎太郎は俺にストレート勝負を命じた。バッターの太良もストレートの力勝負を望んでいたはずだ。それなのに…俺はスライダーを投げた。
最初のコメントを投稿しよう!