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ランナーを確認して,惣太郎は初球を投げた。
インコース低めにストレートが飛び込んできた。
太良は速球に,ついバットが出なかった。
「バシッ!!」。
(審判)「ストライーク!!」。
惣太郎のストレートは143キロと電光掲示板に表示された。
観衆は思わず…
(観客)「おぉぉ」
とどよめきをあげた。
バッターの太良も驚いた。
(太良)「もうとっくに疲労もたまってるはずなのに…なんて奴だ…」。
一方のマウンド上の惣太郎は至って冷静な表情を保っていた。
疲れを表情に出さずに,平然と慎太郎からの返球を受け取った。
(太良)「タイムお願いします!!」。
バッターの太良が球審にタイムを要求した。
(太良)「やべぇなぁ…こんな球打てるわけねぇよ」。
太良は惣太郎の初球を見て自信を失っていた。
(太良)「すいません」。
太良は球審に一礼をして再び打席に入った。
惣太郎は慎太郎のサインにうなずいて,セットに入った。
太良は少しおびえながらバットを構えた。
惣太郎の足が上がり,第2球を投げた。
次はアウトコース低めに速球が飛び込んできた。
太良も勇気を出してバットを出す。
「バシッ!!」。
太良のバットは完全に遅れてしまった。
(審判)「ストライーク!!」。
惣太郎の142キロのストレートに太良のスイングは中途半端になってしまった。
これで2ストライクと太良は追い込まれ,あと1球で南郷中の優勝が決まってしまう。
(太良)「速ぇ…」。
マウンドでは惣太郎の貫禄が漂っていた。
太良は半分諦めていた。
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