279人が本棚に入れています
本棚に追加
(太良)｢もう打てねぇよ…｣｡
太良が諦めている中,惣太郎は早くもｾｯﾄに入った｡
3球目は高めに1球外した｡
ｶｳﾝﾄは2ｽﾄﾗｲｸ1ﾎﾞｰﾙとなった｡
4球目｡
惣太郎はこの試合初めてｷｬｯﾁｬｰの慎太郎のｻｲﾝに首を振った｡
(慎太郎)｢えっ!?｣｡
ｷｬｯﾁｬｰの慎太郎も驚いた｡
慌ててｻｲﾝを出し直して,惣太郎はうなずいた｡
二塁ﾗﾝﾅｰを確認してｾｯﾄに入った｡
太良もｺﾞｸﾘと唾をのんでﾊﾞｯﾄを構えた｡
惣太郎の足が上がり,第4球を投げた｡
惣太郎が選択したﾎﾞｰﾙはど真ん中のｽﾄﾚｰﾄだった｡
そのｽﾄﾚｰﾄが真ん中に飛び込んできて,太良は思い切ってﾊﾞｯﾄを出した｡
(太良)｢くそぉ!!｣｡
太良も思わず目をつむってしまった｡
その時…
｢ｶｷｰﾝ!!｣｡
太良の出したﾊﾞｯﾄに当たった打球はﾊﾞｯｸﾈｯﾄに当たってﾌｧｳﾙとなった｡
(太良)｢当たった…｣｡
打った太良本人が一番驚いていた｡
ﾊﾞｯﾄに当てられたﾏｳﾝﾄﾞの惣太郎は表情を変えなかった｡
(太良)｢当たる…当たるぞ｣｡
太良は今のﾌｧｳﾙで自信をつかんだ｡
5球目,惣太郎は徹底したｽﾄﾚｰﾄ攻めに出た｡
｢ｶｷｰﾝ!!｣｡
太良も必死にﾌｧｳﾙでしのぐ｡
そして迎えた6球目｡
惣太郎は慎太郎のｻｲﾝに首を振った｡
慎太郎が出し直したｻｲﾝにも首を振った｡
3回目に出したｻｲﾝにようやくうなずいた｡
太良はｽﾄﾚｰﾄを待っていた｡
(太良)｢ﾀｲﾐﾝｸﾞはつかんだ｡今度はとらえられる｣｡
最初のコメントを投稿しよう！