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惣太郎の足が上がり,6球目を投げた。
ボールはアウトコースに飛び込んできた。
(太良)「よし!!」。
太良はストレートにタイミングを合わせてバットを出した。
その時…ボールはホームベース手前でキュッと変化した。
(太良)「えっ!?」。
太良は驚いた。
惣太郎が勝負球に選んだのはスライダーだった。
投球はストライクだった。
(太良)「しまった!!」。
太良は不意をつかれた。
しかし…
「カキーン!!」。
太良は何とかバットに当てた。
打球は高く上がった。
球場全体の視線が打球に集まる。
打球はピッチャーの惣太郎真上に上がった。
(太良)「あぁ…」。
太良はゆっくり走り出す。
ファーストとサードが落下点にゆっくりと向かってくる。
打球もゆっくり落ちてきた。
その時…
(惣太郎)「俺が捕る!!」。
惣太郎がファーストとサードを制して,自ら落下点に入った。
そして…
「パシッ!!」。
惣太郎ががっちり打球をキャッチした。
(ベンチ)「おっしゃー!!」。
この瞬間惣太郎たちの優勝が決まり,ナインがマウンドの惣太郎の元へ集まってきた。
南郷中のアルプススタンドも大きく盛り上がっていた。
マウンドにできた輪の中心では惣太郎も喜んでいた。
南郷ナインは歓喜にあふれていた。
マウンド上で満面の笑みを浮かべていた惣太郎が輪の外を見ると,最後の打者になった太良がチームメートに連れられ,泣きながらベンチに歩いていっていた。
(惣太郎)「…」。
惣太郎はそれを見て表情から笑顔が消えた。
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