松下惣太郎の中学校時代

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その後表彰式が行われ,優勝旗がキャプテンの下村和晃に渡された。 そして大会の最優秀選手賞には惣太郎が選ばれた。     ◇◇◇◇◇◇◇ 表彰式も終わり,南郷中のメンバーはロッカールームで着替えていた。 そこでも惣太郎の表情はさえなかった。 それに気付いたチームメートの山川秀吾が… (秀吾)「惣太郎,どうしたんだよ。優勝したっていうのに嬉しくねぇのか?」 と惣太郎に聞いた。 すると惣太郎は… (惣太郎)「えっ?あぁ,ううん。嬉しいに決まってるだろ」 と明るく答えた。 (秀吾)「そっか。ならいいけど…」。 秀吾には惣太郎が無理矢理笑顔をつくったように見えた。     ◇◇◇◇◇◇◇ 着替えも終わり,球場の外でメンバーは集合してミーティングが始まった。 (土居)「みんな,よくやってくれた。これで春季大会に続けての全国大会になった。しかし本当の勝負はここからだ。春に成し遂げられなかったベスト8の壁を破り,ベスト4進出を最後の夏の目標として明日からまた頑張っていこう」。 監督の土居の話が終わり,メンバーはその場で解散した。 惣太郎と秀吾と下村和晃が3人で帰り始めると… (土居)「松下!!下村!!前田!!」。 土居から3人が呼ばれた。 3人は監督の元に集まった。 そして… (土居)「すまんすまん。実はな,お前ら3人に明るい話がある」。 土居からそう言われた3人は… (和晃)「明るい話?」 と首をかしげた。 (土居)「お前ら能登川高校を知ってるよな?」。
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