プロローグ

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澄み切った青空の広がる暖かい日だった。 校庭の桜の木は小さい蕾をたくさん付けて、近づいて来る春の気配を匂わせていた。 体育館では卒業式が行われていた。 ずらりと並んだパイプ椅子にクラス毎に着席する。 檀上ではいつから始まったのか、そしていつ終わるのか解らない校長の話が続いている。 中学校生活の3年間は、私にとってかけがえのない大切な時間を過ごすことが出来た。 大好きな友達にフレンドリーな担任。彼氏こそ出来なかったものの、クラスの雰囲気も良く、イジメもなく、よくまとまっていた。 このままこのクラスでずっと過ごしていたいと思った程だ。 少し時代遅れな感じがする、昔ながらの紺ブレーザーのダサい制服を着るのも今日で最後だ。 入学式の時はぶかぶかだったこの制服も、今ではちょっと袖が足りないくらい。 これも、3年間の成長の証だ。 周りを見ると、みんなひそひそと話したり、笑い合ったりしてるのに、私はぼろぼろと隣の子が引く位、泣いていた。 だって、仕方ない。
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