プロローグ

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出る料理はコースで、値段も高めなので、中学生の私が友達と気軽に来れる店ではなかった。 卒業記念にお食事会を開いてくれるのかな?ママの職場の人とは何回か一緒に食事をしたことがあった。 誕生日にプレゼントをもらったこともあるし。 少し期待しながら、ママの後に次いで、車から降りた。 カランカランと入口のドアに掛けてあった鐘が乾いた音を立てて鳴ると、店の奥から女性スタッフが笑顔で迎えてくれた。 「すみません、中瀬(なかせ)で予約してます。先に連れが来てるはずなんですけど」 ママが名前を告げ、納得したような女性スタッフはこちらにどうぞと店の奥へと案内をする。 チョコレート色のテーブルセットに清潔感のある白いクロス。 小窓はステンドグラスが埋め込まれており、棚にはプリザーブドフラワーのアレンジメントが置かれている。 さり気なく壁にかけてある額に入った名画のレプリカ。 なかなかオシャレな店内だ。 私たちは店の奥の窓に面したテーブル席に案内された。 窓からの日差しが眩しくて、一瞬、目が眩んだ。 先客は私たちに気付き、手を振る。
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