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優が言うと、大輝が呆れたように口を開いた。
「バカだなぁ、優。
そんなの、兄貴のためにサボるに決まってんだろ。
わざわざ長い距離を帰ってくるんだぞ? 絶対に脈ありだと思うな、オレは。
普通に遊ぶのとは、気持ちが違うんだよ。それに、学校サボるくらい、気にすることねぇだろ」
「みんなが大輝と同じ出席率なら、
同じ考えだろうけどね。
でも残念ながら、一般の学生の出席率は、大輝の倍はあるからね」
すかさず正にツッコミを入れられ、大輝は悔しそうに舌打ちをした。
「そうだな、たしかにお前たちからしたら、ちょっと変に思うかもしれん。
でもな、大学生は高校と違って、
授業が選択性だからな。
結構空きがあったりするんだよ。
実際、俺は月曜の授業はないからな!」
俺はこれ見よがしに胸を張った。
「え! 古賀さんが家にいるのは、
大輝みたいにサボってるんだと思ってたのに。マジで休みだったんですか!」
「いいなぁ、大学生」
「高校も同じにしてくんねぇかな」
現役高校生にこの情報は魅力的らしく、
三人とも羨ましいだの、ズルいだのと口々に言ってきた。
だがこの三人は、単位という恐怖をまだ知らない……。
「優、実は俺も気になって確認したんだ。
そしたら、むこうも講義が休講になって、休みなんだそうだ」
「そうですか、すいません、変なこと言って。
でも、ホントいいなぁ大学生」
まだ言うか。
たしかに大学は、高校と比べて自由な面が多い。
しかし、単位という存在を知れば、
こいつらも同じことは言えないだろう……。
日も暮れ、対戦ゲームに火が付きだしたころ、
加藤からのメールが届いた。
『こんばんは。
明日、すごく楽しみにしてます。ちゃんと私を守ってね?(笑)』
「すきあり!」
メールを見ていた表情で差出人がバレたのか、
大輝がすばやく携帯を取り上げ、
三人で読み始めた。
「バカ! 返せお前ら!」
メールを見て、最高潮にまで上ったテンションの三人から、
必死で携帯を取り返した。
「うるせぇ!
ちょっと落ち着け、お前ら!」
言ってはみたが、
ニヤけたままの俺が言っても、効果はなかった。
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