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「ごめんなさい。
優くんはすごくいい友達なんだけど、
それ以上には見れないの」
まただ。
これで何度目だろう。
いつも、同じような言葉が返ってくる。
どれだけ一緒に遊んでも、
どれだけ相談に乗っても、
結局僕はいい人止まりなんだ。
彼女は「これからも今まで通りの友達でいよう」と言って、僕の目を見つめてきた。
僕は何も言わずにうなずいて、
何とも言えない空気の中、
お互いに気を使いながら別れた。
四月三十日
高校二年の春。
咲いたわけではないけれど、
散っていく桜の花びらのように、
僕の人生十一回目の恋は終わりを告げた。
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